2012年9月24日月曜日

針と老婆

インドのお話です。

一人の若い旅人が小さな村を通りかかりました。
粗末な小さな小屋の前で、一人の老婆が一生懸命曲がった腰を更に丸めて、何かを探しています。
旅人は不憫に思い、「おばあさん、何をお探しですか?よかったら私もお手伝い致しましょう」
すると老婆は「ああ親切な旅のお方、実はたった一本しかない針を落としてしまったのです。私はもう身体もあまり動かないし目もあまり見えない、縫い物をして日々食いつないでいる毎日です。その針がないと明日からどうやって生きていけばよいでしょう。どうか一緒に探すのを手伝って下さい」
若者は、そういうことならと、砂の上に落ちた針など見つかるものかとの思いを堪え、一生懸命たった一本の針を探しましたが、小屋の周りをすべて探し尽くしたのにいっこうに見つかりません。
陽もそろそろ暮れかけてきたので、

「おばあさん、小屋の周りはすべて探しましたが、さっぱり見つかりません。どこでその針を落とされたのですか?覚えていたら教えて下さい。暗くなる前にもう一度その辺りを探してみましょう」
すると老婆は、
「針を落としたのは小屋の中です、旅の方」
若者は驚いて、「じゃあなぜ小屋の外をあんなに血眼になって探していたのです?ある筈がないじゃないですか」
老婆は、
「貧しい私の小屋の中には蝋燭もなくてそても暗い。暗がりで落とした針を探すよりは、もしかしたら小屋の外に誰かが針を落としてはいないかと思って探していたのさ」

これは、探し物は自分の中にしか見つかりませんよというお話です。そこがどんなに暗くても、私達はそこに光をあてて、幸せや希望、愛、夢、望み、安定、静寂、平和、調和。。。外に探す事をやめて、自分の内側に見いださないといけない、のです。

OM

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