2012年5月29日火曜日

思春期のヨガ

脊椎は全部で24個
頚椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個、+仙骨、尾てい骨。
というのが、ヨガに関わらず、身体への知識としての定説。
暦上の24節(今は小満、自然界のすべてのものが満ちてくるという時期)というのも、24個の背骨に対応しているとさえ言われています。

うちの息子には腰椎が6個あると言われたのが、2月頃。
激しい腰の痛みが我慢出来なくなってきて、ようやく行った学校指定の病院での事でした。
「奇形」という思春期の少年には強すぎる文字が書かれたメモ、分離症を起こしているので、牽引や手術が必要、部活動などすべての運動は禁止、という先生の言葉を持ち帰った息子の憔悴しきった様子。
バスケットボールで中一から選抜メンバーにも選ばれる程頑張っていたのですが、小学生の時は野球をしていました。
それが肘の剥離骨折でやむなく断念。
それもこれもバスケットをやるためだったのだと納得して、毎日親である私が「馬鹿じゃないの」(笑)と思う程エネルギーを注いでいたまさに中学三年、引退前に一番輝こうとする季節の直前のことでした。

そういう風に産んでしまった自分を責めましたし、一生付き合わないと行けないから、少々の痛みは我慢しなきゃという息子の無言の頑張りも、それでも雨が振り出すたびに、気圧の変化で痛みが増し、歩けない程になってしまう状況にも胸が締め付けられる思いでした。

いろいろな病院、整体、実際に腰椎を6個お持ちだと言う方の話、リハビリ、痛みを専門に取り扱うペインクリニック、学校や担任の先生、部活動の顧問やコーチとの話し合い、いろいろ重ねましたが、私の信念はヨガでした。
ヨガでしか解決出来ないというもの。 というよりは、ヨガでなら解決出来るという方が正しいかな。

息子の身体は、もう、「私硬いからヨガ無理」と敬遠、もしく は必要なのがわかっているけど、出来ないことや痛みが怖い人そのもの。
思春期の身体は急激な成長とホルモンのアンバランスで、一時的に上手く動かせなくなるものなのだそう。体幹や脚力が成長に追いつかず、激しいスポーツや昔ながらの体育会系トレーニングで膝、腰、肩などを痛めやすい。ガラスのような時期に可能性の芽を潰してしまう事も多いのだろうなとは以前からずっと思っていた事。
男性で自分の身体にトラウマを持つ人、その頃に身に付いたものかもしれません。

現代っ子は、まず生まれた時からトイレが洋式で、股関節が硬い、外で走り回って遊ぶ時間が昔と格段に違うので、体幹や足底の筋力が培われていない、生活様式が変化し、親もあまり姿勢の事についてうるさく言わないなど根本的問題は多いです。
私も常々言っていたつもりでしたが、母子一対一の母子家庭なので、彼の反抗期にはむしろ逆効果で、歯痒い想いはいつもついてきていました。

結局、本当に多くの方からいろんな話を聞いて納得した息子に、毎朝ヨガを教えています。
ダウンドッグさえ出来ない息子。
チャイルドポーズさえ無理で、股関節も骨盤もまったく動かないので、ヨガとも言えない基礎からやっています。 以前はそういう人、逆にどうしていいかわからないというか、私が半ば諦めてるのが生徒にも伝わったりしてたかもしれません。

セラピューティックのトレーニングや体の使い方を徹底して学ぶアヌサラヨガ、タイマッサージであるタイヨガ、すべての疾患は心身症だと言えるという観点のヨーガ療法、など、今までいろいろ学んできましたが、今、本気で目の前にあることに全力を注ぎ、本当に役に立つヨガインストラクターになるための実践なのかもしれないと思い取り組んでいます。

福祉医療症を頂き、やっとお金の心配をしないでいろいろな治療を受けることが出来るようになった矢先、部活の顧問の先生が、運動部部活顧問 懇親会という勉強会に出席して下さり、思春期の運動による怪我や発育の問題に取り組んでいる先生を紹介してくれました。
偶然にも私が鎌倉で仕事をしているスタジオのディレクターのお知り合いだったこともあり、レントゲン、CT, MRIを駆使して丁寧に見て頂きました。

そして、衝撃の一言
「う〜ん、ここから数えれば六個だけど、僕はこれは胸椎だと考えます。だからこの一番下の骨は、第六腰椎ではありません」とのこと。
トータルで何個と調べれば早いのかもしれないけれど、私達に重くのしかかってきていた「奇形」という言葉の持つブロックが、まずこれで取り除かれました。
そしてリハビリ。結局はヨガと同じような事を、パーツパーツ分解して丁寧に行って行きます。それを行うトータルで1000万円だという器械類も面白い。
それを見ていると、とても勉強になります。

 私は大人になってからヨガに出会ったわけではないので、トリコーナーサナで膝をしっかり伸ばすことの大変さもわからなかったし、ウッターナーサナーで太ももと胸がピッタリつくとか、ハヌマーナーサナーとか、そういうことが最初から当たり前で、特に努力もしていなかった分、特別な事だとも思っていなかった。
でも、一般の人に教えるという事は、本当に一歩一歩です。
ヨガで人の体に向き合うのにはマニュアルも無く、これさえ出来ていればいいという目標もありません。だから難しいなと、何年経っていてもそういう想いでいたのですけれど、今息子の体、若いからこそ今を大事にしないといけない状況で、私も一生懸命です。
痛みはその人の思考や性格まで変えてしまう。

親子の絆を再確認したり、異性の子供の体は思春期を迎えると、何か触れてはいけないようなデリケートさと遠慮があったのも、「お母さん」という男の子には何とも言えない微妙な存在というポジションも、世間的な視線も、すべて吹き飛ばしてしまうこの状況は、よく考えてみたら、とても感謝すべき貴重な機会だと思うのです。
客観的に心に向き合う事も、若いからこそ大切です。

息子をある程度教えられたら、私もやっと一人前かなと秘かに思っています。
誰にも何もあきらめさせない。まずはどんな状況でも私が可能性をまっすぐに見いだす。
ヨガに関してはそんな人でありたいと思います。

ヨガは本当は誰にでも必要で有効で、大勢のヨガも、一対一のヨガもどちらも大事にしていきたいです。特に思春期の子達への必要性を、もっと教育機関にご理解頂きたい。
目標があって、それをクリアしたらOKというものではないからこそ、「続ける」ことの意味をずっと見て行きたいと思います。
今はとにかく関わって下さっている周りの方すべてに感謝致します。
OM


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